歯並びが乱れて、ガタガタになるのはなぜですか?
原因として、むし歯、噛み合わせの悪さ、乳歯の早期喪失、ケガ、歯の形などの遺伝的な要素などがあります。特にお子さまの場合は、指しゃぶりや爪かみ、口呼吸、頬杖どの生活上の癖が原因で歯並びが悪くなることもあります。
矯正治療にはどのような種類がありますか?
ブラケット矯正やマウスピース矯正、舌側矯正など様々な治療方法がございます。精密検査を行い、そのデータを基に患者さまお一人おひとりに合わせた適切な治療方法をご提案させていただきます。
人に気づかれにくい矯正治療はありますか?
マウスピースを使用した矯正治療をおすすめしております。マウスピースは透明で目立ちにくいため、周りに矯正をしていることが気づかれにくいです。また取り外しも可能なため他の矯正と比べストレスが少なく治療ができます。
どれくらいの治療期間が必要ですか?
患者さまの歯並びや歯の状態によって異なりますが、月1回の受診で2年程かかります。また矯正装置を外した後、後戻りを防ぐための保定期間が3~6ヶ月程あるため長い方の場合は3年かかることもあります。
矯正治療をするとむし歯になりやすいというのは本当ですか?
矯正装置によって異なりますが、ブラケット矯正などの場合は歯に矯正装置を装着したままになるため、汚れがたまりやすくなりむし歯になるリスクが高くなります。
矯正治療に保険は使えますか?
基本的には保険適用外の治療となります。ただし、厚生労働省が定める特定の疾患にのみ一部保険が適用されます。
むし歯や歯周病があっても治療は可能ですか?
むし歯や歯周病がある場合まずはそれらの治療を行い、その後に矯正治療を開始します。当院で治療を行った後に矯正治療を開始することが可能ですので、お気軽にご相談ください。
妊娠中でも矯正できますか?
矯正治療をする際にレントゲン撮影などの検査を行うため、胎児への影響がないとは言い切れません。そのため、妊娠中は矯正治療の開始を見合わせた方が無難です。
子どもの歯並びが気になります。いつから治療を開始すれば良いですか。
お子さまの場合、永久歯が生え始める6歳前後に開始し、永久歯が生えそろう頃までに治療を終えることを目標にしています。
子どもは、マウスピースを装着しているだけで歯並びが整いますか?
マウスピースを使用するだけでもある程度効果はありますが、並行してお口のトレーニングを行うとより効果的です。
歯並びが気になります。矯正が必要かどうか見分ける方法はありますか?
矯正治療が必要かどうかの判断は、矯正医に診断をしてもらうのが一番です。
歯並びの乱れにはいろいろな種類があり、それを見分けるのは専門家に任せた方が良いです。明らかな出っ歯や乱ぐい歯など誰が見ても治療が必要と判断する歯並びもありますが、その原因や具体的な対処法を見極められるのは矯正治療を専門とする歯科医師しかいません。ただ、いきなり矯正歯科に行くのに抵抗がある方も少なくないと思います。ですが、矯正歯科を受診したからといってすぐ治療を開始しなければならないわけではありませんのでご安心ください。
矯正歯科では治療をする前に矯正相談やカウンセリングを実施しているので、そこで歯並びの悩みを相談しましょう。あくまで相談のための場なので気負う必要はありません。治療に関する不安や疑問などもお気軽にご相談ください。
歯並びの異常というのは、一目見ただけではたとえ歯科医師でも判断することが難しいです。お口の中で確認できるのはいわば“氷山の一角”のようなもので、骨格や上下の顎のバランスは精密な画像検査などをしないと正確に把握できません。ケースによってはより深刻な問題が潜んでいる可能性もあります。ですので、矯正治療が必要な歯並びかどうかは専門家である矯正医に見極めてもらうのが一番です。
乱れた歯並びを放置するとどうなりますか?
将来的に様々なリスクが生じてしまう可能性があります。
矯正歯科には、見た目が気になるという理由で歯並びの治療を希望される方が極めて多いです。歯並びの乱れは口元の審美性を左右するため、深刻なコンプレックスになることも少なくありません。こうした審美的な問題は歯並びの乱れを放置する大きなリスクといえます。
しかし、歯並びの乱れを放置すると、これら以外にも多くのリスクを背負うこととなってしまいます。わかりやすいのは、むし歯や歯周病にかかりやすくなるというリスクです。八重歯や出っ歯など、歯並びの一部分でも乱れがある方はわかるかと思いますが、歯並びが乱れていると歯磨きがしづらいのです。これによってきちんとお口の中のお手入れができないので、歯垢や歯石といった細菌の温床となる物質が溜まりやすくなります。その結果、むし歯や歯周病のリスクが上昇するのです。お口の中の汚れは口臭の原因にもなりやすいため要注意です。
またかみ合わせの異常を引き起こし、歯やあごの関節に過剰な負担がかかるリスクも考えられます。歯並びが悪いと、かみ合わせも乱れてしまうのです。上下の歯列が正常に噛み合っていないと、どこか一部の歯や顎の関節に過剰な負担がかかり、歯の破折や顎関節の異常をもたらすこともあるためまずは専門家に相談することをおすすめします。
矯正治療のメリット・デメリットを教えてください。
矯正治療のメリットとして、「長年のコンプレックスが解消できる」「見た目が美しくなる」といった審美性の向上が挙げられます。歯並びの乱れは口元の審美性を大きく低下させます。矯正治療による歯並びの改善は、見た目の印象を大きく変えることができるのです。
また、歯並びが整うと自ずと噛み合わせが正常化され、食べ物を効率良く噛めるようになります。少し難しい言葉でいうと“そしゃく能率”が向上します。その結果、歯やあごにかかる負担を軽減することができ、硬いものや噛みにくい食べ物も食べられるようになります。
さらに、矯正治療によって歯並びが整うことで歯磨きがしやすくなるというメリットも得られます。歯列の隅々まで歯ブラシが行き届くため磨き残しも少なくなります。細菌の温床となる歯垢や歯石も溜まりにくく、むし歯や歯周病のリスクも減少するのです。
一方、矯正治療のデメリットは、治療期間が長いことや比較的高額な治療費がかかる、という点が挙げられます。矯正治療は審美目的の歯科治療であるため原則として保険が適用されません。一般の歯科治療より費用が高額になりがちです。また、治療期間が数年かかるケースがほとんどであるため、長期に渡り矯正装置を装着しなければならない点もデメリットとなります。
矯正治療を始めるのに適した時期はいつですか?
矯正治療の種類や患者さまのお口の状態によって変わります。
「矯正治療は子どもの頃に受けるもの」と思われている方は比較的多いです。実際、小児矯正を受ければ効率良く歯並びの矯正を行うことができます。しかし、成人してから受けられる治療もあるため矯正処置に適した時期はあくまでケースバイケースといえます。
お子さんの歯並びに異常が認められた場合は基本的に小児矯正を受けることが推奨されます。発育途上のお子さまであれば成長に合わせて骨格の異常を改善できるからです。そのため、お子さまの歯並びやあごの骨の異常に気付いたらその時点で一度、矯正歯科を受診するようにしてください。小児矯正が必要かどうかも含め、矯正の専門医に診断してもらう必要があります。
歯並びを調整する「歯列矯正」は、原則としてあごの骨の成長が完了した後に行います。いわゆる「ワイヤー矯正」や「マウスピース矯正」は、あごの骨の発育が終わってからが治療を受ける適切な時期です。つまり、成人になってからの矯正治療は、年齢にかかわらず開始することができるのです。
このように、矯正治療の開始に適した時期は矯正治療の種類や年齢によって大きく変わってくるためまずは専門家に相談することをおすすめします。矯正医であれば、患者さま一人ひとりに適切な治療の時期や方法を提案することができます。
何歳まで矯正治療を受けられますか?
歯列矯正は何歳になっても受けることができます。
「矯正治療は受けてみたいけれど、もう年齢的に難しいかもしれない」と諦めてしまっている人も少なくありません。結論からいうと、矯正治療に年齢制限はありません。20代から30代はもちろん、40代、50代になっても矯正治療を受けることができ、実際に受けている方もいらっしゃいます。年齢的に不安を感じている方は、まずは矯正歯科にご相談ください。
ただ、矯正治療の種類や歯並びが悪くなった原因によって治療法が限定されてしまうこともあります。
例えば、“骨格的な異常”に由来する歯並びの乱れです。下のあごの骨が前方に突き出ていることによって受け口となっているケースは、小児期に矯正治療を受けておくことが望ましいです。子どもの時期に受ける矯正治療は、あごの骨の発育を正常化させるものであり、そういう意味では年齢制限があるといえます。成長期でなければ期待するような治療効果が得られないからです。ただし、骨格的な異常であっても成人してから外科矯正や歯列矯正を組み合わせることで改善することは可能です。
このように、矯正治療には基本的に年齢制限がありません。ですので、歯並びの乱れを治したいと思った時点で矯正医に相談しましょう。矯正を開始する年齢によって選択できる矯正法は異なりますが、各々のケースでより適切な治療法をご提案いたします。
矯正治療中にスポーツや楽器演奏ができなくなりそうで心配です
ほとんどの楽器やスポーツは大丈夫です。
矯正治療では、さまざまな形態の矯正装置を装着します。そのため、スポーツや楽器の演奏に支障が出ないか不安に思う方も少なくないですが、ご安心ください。
まずスポーツに関してですが、たいていの種目は問題なくプレーすることができます。患者さまご自身が矯正装置による違和感や異物感が気になることはあるかもしれませんが、スポーツのパフォーマンスに大きな悪影響を及ぼすことはほとんどないです。ただ、ボクシングや空手などの格闘技等の顔面を強打する恐れのあるスポーツは矯正装置でお口の中を傷つけてしまうリスクがあります。このようなスポーツを行う場合はスポーツマウスガードを装着するなどして対処しましょう。
次に楽器についてですが、演奏の仕方によってはお口の中の粘膜を傷つけるリスクがありますので専用のワックスを矯正装置に塗布して予防します。矯正装置の異物感は慣れるほかないのが現状です。矯正装置の存在に慣れるまでは、思うように音が出せなくなる可能性があるので忍耐力が必要かと思います。
このように、矯正中に控えるべきスポーツや楽器は基本的にありませんが、お口の中に大きなダメージが及ぶようであれば治療を優先しましょう。カウンセリングの段階で、普段からしているスポーツや楽器について教えていただければ、できるだけトラブルが起こらないような治療計画を立案いたします。
矯正後の保定期間はどれくらいの頻度で通院が必要ですか?
3~6ヶ月に1回程度の通院となります。
矯正用のワイヤーやマウスピース型矯正装置によって歯を動かした後は保定期間が設けられています。矯正治療によって移動した歯は、元の位置に戻ろうとする性質があるからです。そのため、3~6ヶ月に1回くらいの頻度で通院することとなります。通院頻度に開きがあるのは、お口の中の状態や治療内容によって大きく変わるためです。
ただ、保定を開始した当初は通院の頻度が高くなる点は共通しています。一般的には3ヶ月に1回程度の通院が必要です。歯の状態も落ち着いてきたら徐々に通院頻度が低くなり、最終的には6ヶ月に1回程度の通院となります。保定期間中の診療は1回30分程度の時間しかかかりませんので、それほど大きな負担にならないと思います。
保定処置は、基本的にすべての矯正治療で必要となります。歯を移動させる治療が終わったからといって、通院を途中でやめてしまうのはおすすめできません。せっかく時間とお金をかけて動かした歯が元に戻ってしまっては、患者さまの不利益となってしまいます。このように、矯正治療後も保定のために一定の間隔をあけて通院の必要があります。その期間も踏まえて、矯正治療を検討することが重要です。
転勤の予定があり、早めに矯正を終わらせたいのですが。
一部の例外を除き、矯正治療を短期間で終わらせるのは難しいです。
矯正治療にかかる期間は、歯並びの状態や矯正法によって異なってきます。歯並び全体を整える全顎矯正で、マルチブラケットやマウスピースを用いると、2~3年の治療期間が必要となります。そのため半年~1年後に転勤の予定がある場合は、全額矯正は難しくなります。
歯列の一部分だけを整える部分矯正であれば、半年~1年で矯正を終えることが可能です。前歯のちょっとした乱れを治すなど部分矯正で対応できるケースであれば検討する価値はあると思います。ただし、矯正治療には後戻りを防ぐ保定処置が必要となります。また治療後に何かトラブルがあった場合、主治医が対応するほうがいいでしょう。そうした点も踏まえると、余裕を持って矯正治療を開始されることをおすすめします。
それでも短期間で歯並びを良くしたいという方は、お気軽に当院までご相談ください。患者さまの歯並びの状態を確認し、治療についてのご要望をお伺いしたうえで、より適切な方法をご提案いたします。
転居後も継続して通院できる場合は、治療を開始しても問題ありません。矯正治療は、一般の歯科治療のように毎週通院する必要はなく、患者さまのご都合も踏まえながら無理のない通院ペースをご提案いたします。
保険が使える矯正治療はありますか?
矯正治療は、一部の例外を除いて健康保険が使えない自由診療となります。
なぜなら、矯正治療のほとんどが“審美目的”で行われるからです。矯正治療に限らず、日本では見た目を美しくするという目的で受ける治療は、自由診療となってしまうのです。そのため、矯正治療の費用は比較的高額になりがちです。ただし、先天的にお口の中やお口周りに何らかの異常がある場合は保険が適用されることがあります。例えば、あごの大きさや形態に異常があり、顎変形症やかみ合わせの異常がある場合などです。
先天的に歯の数が少なく、噛み合わせの異常が生じている場合も、矯正治療に保険が適用されることがあります。
先天性異常としては、ターナー症候群や唇顎口蓋裂、トリーチャー・コリンズ症候群などがあります。このような病気悩まされている方は、矯正治療を保険診療で受けられるかもしれませんので、検討する価値があるといえます。
上記のような条件を満たすケースは極めて稀であり、矯正治療は自費で受けるものだとお考えいただいた方がわかりやすいかと思います。自由診療であっても治療費を安く抑える方法はありますので、カウンセリングの際に費用についての要望もきちんと伝えるようにしましょう。
矯正治療で医療費控除が受けられるそうですね。
矯正治療は医療費控除の対象です。
矯正治療は審美目的の歯科治療であるため医療費控除の対象とならないと考える方も少なくはありません。確かに、審美目的のみの矯正治療は、医療費控除の対象から外れてしまうため注意が必要です。とはいえ、見た目を美しくするという目的だけに行われる矯正治療は、ごくわずかだといえます。
実際の矯正治療は、審美性を追求するだけでなく機能性の回復を目指すからです。発音障害やそしゃく機能の改善なども治療の目的に含まれるのが一般的なのです。ただし、歯並びの悪さが噛み発音や合わせに影響を及ぼしていると診断される必要があります。
医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円をこえる場合に申請できる制度で、比較的高額な治療費がかかる矯正治療はほとんどが対象となります。矯正治療の費用をデンタルローンで支払った場合も、医療費控除の対象となります。医療費控除の手続きは一般的な方法と同じになります。
矯正治療は治療費が高額になりがちですが、このように矯正治療は医療費控除の対象となります。医療費控除によって税金の一部が還付されれば、出費の抑制にもつながりますので、施術を受けた際には確定申告の際の手続きを忘れないようにしましょう。
矯正治療の際に顔写真を撮るのはなぜですか?写真を人に見られたくありません。
お顔の写真は、適切な矯正治療を行うために必要な情報だからです。
治療の前後でお口やお顔がどのように変化したかなどを確認し、施術や治療計画を立てる際に重要な役割を果たします。その必要性に関してはご理解いただけると幸いです。
また、矯正歯科のホームページには、よく過去の治療例などが画像付きで紹介されています。このような情報はこれから矯正治療を受けようか検討されている方にとっては、非常に有用な情報となります。症例写真の掲載および紹介は必ず患者さまの承諾を得た上で行われます。患者さまの同意なく顔写真などが紹介されることはありませんのでご安心ください。
写真の掲載を打診された場合でも患者さまには拒否する権利があります。何より大切なのは患者さまのお気持ちやプライバシーであり、それらを侵害されると感じた場合はしっかりと拒否しましょう。同意をいただいた上で紹介する場合も、お口の中にフォーカスした画像を選択するのが一般的であり、お顔全体まで写った画像を加工せずに公表することはまずありません。歯科医院が患者さまのプライバシーを侵害するようなことはあってはならないためです。
矯正治療ではレントゲンをたくさん撮影するようで、被ばくが心配です。
身体に悪影響が及ぶことはまずないでしょう。
レントゲン撮影というと、被ばくを心配される方が多いと思います。放射線は肉眼で確認できないものなので、身体にどのような悪影響が生じているのか不安に感じるのも仕方ありません。そこで、まず歯科におけるレントゲン撮影の安全性について確認しておきましょう。
歯科でのレントゲン撮影はお口の周囲に限定されます。矯正治療でお顔全体を撮影することはありますが、全身に放射線を照射することはないです。また、撮影の際には放射線防護の役割を果たす“鉛製のエプロン”を着用するため顔からの被ばくは皆無に等しいです。
お口の周りについても、年に数回程度のレントゲン撮影であれば被ばく量はごくわずかです。矯正治療で行なうレントゲン撮影も例外ではなく、矯正治療のレントゲン撮影で健康被害が生じることはまずありませんのでご安心ください。もちろん、妊娠中の女性のように特別な配慮が必要なケースもありますが、そのようなリスクは事前に把握できるため、大きな事故につながることはありません。医療行為としてレントゲン撮影を行う際は、メリットとデメリットをしっかりと検討した上で選択されます。被ばくによって患者さまの健康に影響がある場合はもちろん他の方法を検討します。
ブラケットが痛くて食事がしづらい場合はどうすれば良いですか?
マルチブラケットを用いたワイヤー矯正では、治療開始当初に強い異物感や違和感、食事の際の痛みを感じることがあります。これはマルチブラケット法という治療を行う上で、ある程度は仕方のないこだとといえます。ただし、1週間経っても強い異物感や痛みなどがある場合は、ブラケットの設置状態に問題あることが多いです。
不適切な位置にブラケットが接着されていたり、矯正用ワイヤーの装着状態が悪かったりするような状態ではお口の中の粘膜を傷つけてしまう可能性があります。そのため食事もままならないほど痛みがある場合はすぐに歯科を受診して、ブラケットや矯正用ワイヤーの調整を行ってください。
矯正装置による異物感や違和感が気になる程度であればしばらく様子を見ましょう。お口の中はとてもデリケートであり、ちょっとした異物が入っただけでも気になるものです。それがマルチブラケット装置ともなると、違和感や異物感もそれ相応に大きくなります。ただし、1~2週間経っても異物感や違和感が一向におさまらない場合は調整が必要です。
このように、マルチブラケットによるワイヤー矯正では矯正装置による多少の異物感や違和感がつきものですが、食事もままならないほど強い痛みが生じる場合は異常です。日常生活に支障が出るような場合はすぐに歯科を受診しましょう。
矯正装置に汚れが溜まります。むし歯にならないか心配です。
矯正期間中は、適切にケアしなければむし歯のリスクが高くなります。
特にマルチブラケット法は固定式の矯正装置を用いるため、食べかすが溜まりやすくなりお口の中の衛生状態が低下してしまいます。そのため矯正治療を始める前と同じケアをしていてもむし歯や歯周病のリスクが上がります。
矯正治療を始める際は、治療中の正しいオーラルケア方法について歯科医師や歯科衛生士から学ぶことが重要です。矯正装置はデコボコしており、通常の歯ブラシだけでは十分に汚れを取ることが難しいです。ワンタフトブラシやデンタルフロスなども活用しながら上手にケアしていくことが大切なのです。
また、食事の内容にも気を付けましょう。矯正装置に挟まりやすい食品やコーヒーなど着色性の強いものはできるだけ避けるようにしましょう。また上記のことを踏まえてお口のケアや食事の内容に注意したとしても、やはり食べかすなどはどうしても溜まってしまうのでプロフェッショナルケアも併せて受けるようにしましょう。矯正装置のメンテナンスを行う際はもちろん、定期検診にお越しの際もプロフェッショナルケアを実施いたします。歯並びをきれいに整えてもむし歯や歯周病になってしまったら元も子もありません。
数ヶ月後に県外へ転勤します。治療は継続できますか?
転勤などによって引っ越しされる場合でも、可能な限り矯正を開始した歯科医院へ継続して通院するほうが良いでしょう。矯正治療というのは長期的な治療計画に基づいて行われるものだからです。県外に転居される場合も、なるべく今のかかりつけ医での治療の継続をおすすめしています。
とはいえ、距離的に通院が困難となる場合は、転院の手続きが必要になります。その際は、かかりつけ医が紹介状を書き、治療の引継ぎに必要な資料一式を提供します。このようなケースでは治療が中断されるため支払い済みの費用の一部が返還されることもありますので事前にしっかりと話し合っておきましょう。
矯正治療は、歯科医師によって施術方法や治療の方針が大きく異なるため、最終的な治療のゴールなども変化することがあるためご注意ください。治療費の総額も当初より高くなることがあります。
このように、矯正治療はむし歯治療や歯周病治療とは異なり簡単に転院はおすすめできません。近い将来、遠方へ転居が予想される方は矯正開始のタイミングを熟考する必要があります。
歯並びが整うまでどれくらいの期間が必要ですか?
一般的な歯列矯正では1~3年の治療期間が必要です。
矯正治療にかかる期間はあくまでケースバイケースです。患者さまの歯並びの状態や選択した矯正法によっても治療に必要な期間は大きく変わってきます。
マルチブラケットを用いた全顎矯正の場合、治療期間は1~3年程度です。これは矯正用ワイヤーとブラケットを歯の表面につけて、歯並び全体を矯正した場合の治療期間になります。マウスピース型矯正装置を用いた場合でも、歯並び全体を整えるには同程度の期間が必要です。さらに、矯正装置による治療が完了した後は歯の後戻りを防止するための保定処置へと入ります。リテーナーと呼ばれる保定装置を装着する処置で、通常は矯正装置による治療と同じくらいの期間が必要となります。つまり、矯正治療が完全に終わるまでには2~6年の期間がかかります。
ただ、リテーナーは歯を動かすための装置ほど複雑ではなく違和感や異物感も小さめです。着脱式のものがほとんどで、心身にかかる負担も少なめです。歯を動かしている時のような苦労が4〜5年も続くわけではないのでご安心ください。部分矯正などを選択すれば治療期間は大幅に短縮できます。矯正方法によって治療期間が短くなるものもあるため、まずはお気軽にご相談ください。
上記はあくまで成人矯正の一般的な例です。お子さまの矯正の場合は治療期間は大きく異なります。
矯正治療は痛そうで心配です。
痛みの有無や感じ方には個人差があります。
一般的に適切な方法で進められる矯正治療は、我慢できないほどの強い痛みを伴うことはありません。矯正装置を正しい位置に設置し、適度な力を加えながら歯を移動させるためです。それでも強い痛みを感じる場合は矯正装置に調整を加える必要があります。治療経過に問題がある可能性も否定できません。
ただ、比較的弱い痛みや異物感などは少なからず生じてしまうものです。矯正装置による異物感や違和感などは時間が経過するとともに徐々に気にならなくなります。噛んだりしゃべったりする際に矯正装置が粘膜などに刺激を与えることもありますが慣れるまで我慢が必要になります。繰り返し口内炎ができてしまうなど粘膜が過剰な刺激を受けている場合は矯正装置を調整する必要があります。
歯が動く時の痛みは矯正装置を装着した後や調整後に現れやすいです。歯が痛むというよりは引っ張られるような感じがします。痛みのピークは施術後1~2日間で徐々に和らいでいきますが、次に調整する際にはまた同じような現象が起こります。
このような治療に伴う痛みは様々な方法で和らげることが可能です。不安な方には痛みに配慮した矯正治療をご提案しますので、お気軽にご相談いただければと思います。
矯正中は日常生活での不便はありますか?
矯正治療を検討中の方は矯正治療によって日常生活に支障をきたさないか不安に思うこともあるかと思います。
矯正治療を開始すると日常生活で不便を感じることは少なからずありますが、毎日の行動や習慣が大きく制限されることはありませんのでご安心ください。
「これは食べてはいけない」「このスポーツはしてはいけない」というような制限が加わることはありません。しかし、しゃべりにくい、歯磨きがしづらいといった不自由を感じることはあります。特にワイヤー矯正の場合、装置の性質上、異物感や違和感が大きくなる傾向があります。中でも最初の頃は不快に感じることも多くなります。しかし1~2週間もすれば徐々に慣れてきますのでそれほど不安に感じる必要はありません。
食事については、基本的には何でも食べていただいて大丈夫です。ただし粘着性の強いガムなど、矯正装置にへばりついてしまうものは避けた方がいいです。スポーツも万全を期すのであれば専用のマウスガードを装着するといった対応が必要になります。
このように矯正中でも日常生活で大きく制限されることはほとんどありません。矯正は数年間に及ぶためできる限り快適に受けたいものですよね。
矯正治療で健康な歯を抜くのはなぜですか?
歯がきれいに並ぶためのスペースを確保するためです。
矯正治療では健康な歯を抜く「便宜抜歯(べんぎばっし)」が行われることがあります。“便宜上必要な抜歯”で、むし歯や歯周病にかかっていなくても抜かなければなりません。この「便宜抜歯」の目的はスペースの確保です。乱ぐい歯や出っ歯など悪い歯並びには様々な種類がありますが、その多くは歯が並ぶスペース不足が原因となっているのです。スペースが足りていないので一部の歯が歯列からはみ出てしまいます。こうしたケースでは、小臼歯などを数本抜いてスペースを確保します。ただし、すべてのケースで便宜抜歯が必要なわけではありません。すきっ歯に代表される「空隙歯列(くうげきしれつ)」のように、スペースが余っているケースもあります。また、スペース不足が原因の歯列不正でも抜歯せずに歯をきれいに並べ直せるケースもあるのです。つまり、必ず歯を抜かなければならないというわけではありません。
健康な歯を抜くことに抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、きれいな歯並びが獲得できるのであればメリットのほうが大きいといえます。歯並びが整うことにより見た目が美しくなるだけでなくかみ合わせや、お口の掃除がしやすくなるという良さもあります。ただし、抜歯によるデメリットの方が大きいと判断した場合はその他の治療法を検討することとなります。
矯正装置があると歯磨きがやりにくそう。
装置の種類によっては清掃性が低下することがあります。
マルチブラケットのような複雑な装置は清掃性が大きく低下し、矯正治療前と同じようなケアではみがき残しが多くなります。そのため、歯磨きしにくい部分などがむし歯になってしまうこともあります。そこで重要となるのが丁寧なお口のケアです。矯正中は歯ブラシやワンタフトブラシなどを活用して丁寧にブラッシングするようにしましょう。少々コツが必要なケアなので事前に歯科衛生士から指導を受ける必要があります。慣れるまでに時間はかかりますが、頑張って適切なケア方法を身に付けましょう。
矯正中にむし歯になると装置を一度外してむし歯治療を行わなければならなくなります。むし歯の治療自体はそれほど難しくありませんが、矯正治療のスケジュールが大きく乱れてしまうためできる限りむし歯にならないよう予防するのが賢明です。むし歯が複数の歯にひろがったり、重症化すると矯正治療そのものが難しくなるため要注意です。
また矯正中は歯周病のリスクも大きくなります。矯正装置の付近に歯垢や歯石が溜まり細菌の温床となるからです。歯周病になり歯茎や歯槽骨がダメージを受けると矯正治療に深刻な悪影響が及びます。むし歯とともにしっかり予防しましょう。定期的なプロフェッショナルケアを受けることも矯正中のむし歯・歯周病予防につながります。
引っ越しで通院が難しくなります。どうすれば良いですか?
転院の手続きを進めます。
治療期間が数年に及ぶ歯列矯正は、治療期間中に転勤や転居が発生するケースも珍しくありません。矯正治療は極めて特殊な歯科治療であり、可能であれば最初から最後まで同じ矯正医に治療を任せるのが良いです。
そのため、矯正中に引っ越しが決まっても転居先からの通院が推奨されます。矯正治療の場合はそれほど通院頻度は高くないので、多少距離の離れた場所にお住まいでも通院の継続は不可能ではありません。ただ、やはり利便性などを考慮するとお住まいから近い歯科医院で治療を受けるほうが良い場合もあるため、このような場合は転院の手続きを進めます。
転院の際は主治医から紹介状と治療の継続に必要な資料などが提供されますので、それらを持参して転居先の矯正歯科を受診してください。同様に矯正治療を行っている歯科医院であれば引継ぎも可能です。しかし中には治療計画を一から立て直すこともあります。歯科医院の方針によって対応が大きく異なる点に要注意です。
矯正中の転院はあまりおすすめはしませんがやむを得ない場合は必要な手続きを踏んでいきましょう。転居先でもできるだけスムーズに治療が継続できる歯科医師を探すことが重要です。せっかくお金と時間をかけて行った治療が無駄にならないように準備することが大切になります。
小児矯正のメリットを教えてください。
お子さまの発育に合わせて骨格の異常や歯並びを矯正できることです。
小児矯正は歯やあごの発育に合わせて治療を進めることができます。例えば、下のあごの骨の発育が遅れてしまい出っ歯になっているようなケースは矯正装置によって発育を促すことで正常な歯並びや噛み合わせに改善することができます。上のあごの幅が不足しているケースは拡大床によって顎骨の幅を広げ、歯がきれいに並ぶためのスペースを作ることができます。こうした骨格的なアプローチはお子さまの矯正治療ならではの特徴なのです。
大人になってから受ける矯正治療は「歯列矯正」と呼ばれ、歯並びを細かく整えるのに適した治療です。あごの発育が終わっていれば何歳でも治療が可能ですが、小児矯正のように骨格的な異常を改善することはできません。子どもの頃にしか改善できない歯並びの異常もあるのです。
このように、お子さまが矯正治療を受けるメリットは極めて大きいです。骨格的な異常を改善すると、歯並びが美しくなるだけではなく顔貌が整い、お口周りの筋肉の正常な発達にも寄与します。お子さまに歯並びや骨格的異常がある場合はまず矯正歯科を受診しましょう。
子どもの矯正は「小児歯科」と「矯正歯科」のどちらが良いのでしょう?
小児矯正に対応している歯科医院を選ぶようにしましょう。
歯科医院が掲げる診療科名は歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科の4つに限定されます。この中に「小児矯正」の項目はなく、お子さまの矯正治療を希望される場合どこに相談すればいいのか迷う方もいらっしゃるかと思います。この中でも特に小児歯科と矯正歯科のどちらかで迷う方が多いかと思います。
結論から言うと、小児矯正に対応している歯科医院をおすすめします。小児歯科や矯正歯科を掲げていても小児矯正に対応していない歯科医院があるからです。また、矯正歯科の中には、成人矯正のみに対応している医院も少なくありません。逆に、小児歯科に対応している歯科医院なら診療科目が小児歯科でも矯正歯科でも問題ありません。
最近ではマウスピース型矯正のように診療を始めやすい矯正治療が普及してきたため、成人矯正の一部のみを取り扱う歯科医院が増えてきています。これに対して、小児矯正は専門性が高く、豊富な経験や診療実績が治療の精度を大きく左右するするため対応できる歯科医院は多くはありません。このようにお子さまの矯正治療は小児歯科または矯正歯科でなければならないということではなく、小児矯正に対応している歯医者さんであることが重要なのです。
子どもの矯正のトレンドを教えてください。
マウスピース型の矯正装置を装着して、呼吸の仕方を改善したりお口周りの筋肉を正常に発育させたりする治療法が普及しています。
例えばお口がポカンと開いている状態が習慣化すると口呼吸になりお口の中が乾燥します。すると、唾液の抗菌・殺菌作用や自浄作用が弱まりむし歯のリスクが高くなります。また、唇からの圧力が弱まり出っ歯になってしまうこともあります。指しゃぶりやお口ぽかん、舌を前に突き出す癖などを改善するためにマウスピースを装着します。
マウスピースを装着することでお口の悪い癖が取り除かれ、歯並びの悪化を防止することができます。さらに、舌やお口周りの筋肉の活動も正常化され、顔や口、あごの発育も良くなるのです。マウスピースは取り外し式のためお子さまの負担も比較的軽いです。こうした治療は、いわゆる矯正治療とは異なるように思えますが小児矯正においては一般化しつつあります。お子さまのかみ合わせの異常や口呼吸などの癖にお悩みの方は、治療の選択肢として検討してもいいかもしれません。
小児矯正の費用目安を教えてください?
小児矯正の費用は、治療内容によって大きく変わります。
子どもの矯正治療は「第一期治療」と「第二期治療」に分けられます。第一期治療は、あごの大きさや幅を改善することが目的で行われ治療費の相場としては200,000~400,000円程度です。費用にかなり開きがありますが、あくまで参考程度と考えていただければと思います。
一方で第二期治療は細かい歯並びを整えることが目的であり、費用相場は、250,000~650,000円程度です。第二期治療はいわゆる歯列矯正であり、成人してからの治療も可能です。ただ、第一期治療を受けずに第二期治療だけを受ける場合はさらに高額になります。一般的なワイヤー矯正は1,000,000円前後の費用がかかります。それくらい第一期治療が果たす役割が重要だと分かります。
矯正治療にかかる費用をできるだけ抑えたいという場合は、第一期治療から受けましょう。第一期治療は骨格的な問題を大幅に改善できるため第二期治療で矯正すべき点が少なくなり、処置もスムーズに進められます。
矯正治療には初回の相談料や装置の調整料、検査の費用なども発生します。小児矯正がどのくらいの費用がかかるのか、カウンセリンの段階で歯科医師にしっかりと確認を取ることが重要です。